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キチン誘導体を用いた再生医療材料の研究

 近年、生体の再生能力を利用した組織工学的手法の研究が進んでいる。これは細胞の足場となる多孔性の材料を利用して、幹細胞や間葉系幹細胞などを3次元的に配置し、組織に分化・再生させる手法である。この際、足場となる材料、細胞の分化・増殖に関与するタンパク質、幹細胞の3要素が重要である。

 キチンの誘導体である6-カルボキシメチルキチン(CM-キチンゲル)は、低抗原性、生分解性の多糖ポリマーであり、高い生体適合性を有している。以前に、スポンジ状に成型したCM-キチンが骨・軟骨組織の再生を誘導することが報告されている(1)。我々は、CM-キチンの軟骨再生機構について検討し、CM-キチンが単核球系の細胞を刺激して分化増殖因子の産生を誘導し(2)、さらにこの因子が間葉系幹細胞を軟骨様細胞へ分化させることを示した(3)。

 これは、CM-キチンを足場材料として用いることで、増殖因子の添加なしに体内で組織再生を誘導できることを示している。そこで本研究では、CM-キチンの機能性をもとに、多糖ポリマーの高付加価値医用材料への応用を目指す。

 

1) バイオマテリアル, 21, 305 (2003)
2) J. Biomed. Mater. Res. Part A, 83, 58-63 (2007) [PMID: 17377966]
3) J. Biomed. Mater. Res., 94, 1034-1041 (2010) [PMID: 20694970]

   

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